チェジュ島サイクリングに行ってきました♪その④
三日目の天気予報は昼から雨。とくに目的地を決めずに、雨が降ってくるまで行けるところまで行こうと、チェジュ島一周サイクリングコースを反時計回りに出発しました。
ホテル近くのサラ峰公園からフェリーターミナル側へ抜けるコースの一部にはこんな箇所もありました。バイクを牽けるようにレールが設置されていますが、階段がかなり急なため、ビンディングシューズの方は要注意です。
走り始めて間もなく、街道沿いにあったカフェ「EDIORA COFFEE」でモーニングコーヒー。カフェライドのマストです。
こちらのお店、アクセサリーも展示していてインスタ映えするお店ですが、街はずれでゆったり流れる時間に居心地よさ満点でした。
初日に寄った龍頭岩の前を再び通ると、朝から観光バスで賑わっていました。大型バスから、あくびをして出てくる人たちがのっしのし。
MTBの中年夫婦に道を訊かれましたが、「日本からきた」「韓国語を話せない」とハングルで答えるのがやっと。私が行くようなところ(つまり高級ホテルやレストラン、カジノではないところ)では大抵は下手な英語で言っても通じないので、これ、決まり文句です。
イルボネッソワッソヨ ハングンマルモルラヨ
「おぉ日本から!それはそれは…」というやりとりもなく、その老夫婦は別の人を捕まえに行きました。
素っ気ないところが逆にリアルで、それはそれで良し。一人旅というのは、テレビの旅番組みたいにいちいちドラマティックには行きません。
近くの観光案内所でサイクリングマップをもらっておいて、とりあえず資料確保。今回の<調査旅行>を活かすために、アナログ資料は欠かせません。
観光ツアーだと「ここは〇〇」「次は〇〇」とタイトなスケジュールで名所を辿るわけですが、その場所が何かも気にせずにただ走る私が、立ち止まるところ、目に留まるものは普通の観光客とは異なります。
おや? 行く手に立ち往生していた自転車のハラポジ(おじいさん)。荷台に段ボール箱や木箱を何重にも積んでいたのが荷崩れしてしまっていたようです。先にいた観光客の女性二人がハラポジの自転車を支えていたので、私も引き返してお手伝いしました。
ハラポジ、チョシメカセヨ(おじいさん、気を付けて行ってください)
…って、その時に言えれば良かったんですけどね。韓流ドラマ歴8年、いい加減ちゃんとハングルを勉強しておかないと、猛省。
右に左にワインディング、ひたすら続く海岸線。Blutoothスピーカーでお気に入りの曲を聴きながらの至福のとき…
異国の地で目的地もなしにボーっとペダリングしていると、心地の良い浮遊感を味わえます。これが醍醐味!
そこにあるものは何か。そこにいる人はどんな人か。そもそも自分は何なのか…
どうでもいいような、どうでもよくないような。
人影の少ないリゾート。夏シーズンにはここあたりも、もっと人手がにぎわっていることでしょうが、感傷に浸るには最高のシチュエーションです。
トドゥ防波堤は、大きく真っ白なコンクリートに真っ赤な灯台のコントラストがとてもスタイリッシュです。国際空港が近いので、旅客機やヘリコプターの騒音が曇り空に吸い込まれていました。
そろそろおなかが減ってきました。食事は私にとって、観光スポットより重要なイベントです。
客で賑わう商店街の食堂を避け、海の見える食堂「オボクミヨク」でアワビワカメスープを注文しました。日本のわかめスープと違ったコクと味わい深いスープがグッツグツ。冷えた身体に染みわたり、五穀米のご飯がすすみます。
日本にいても自分でアワビを注文するようなことはまずありませんが、ここチェジュにいるとアワビは、ラーメンでいえばチャーシューみたいな身近な存在でしょうか。こんな贅沢をするためだけにチェジュ島に来るのもいいのではないでしょうか?
ガキンチョ達が自転車を囲んで騒いでるの図。防波堤脇にはいくつも、かわいいアート作品が設置されていて旅行者の目を楽しませてくれます。
韓国はチェジュ島に限らず、街のいたるところに壁画などアートが点在しているので、インスタ女子にもお勧めです。
あれこれ撮影しているうちに予報どうりに雨も降り出し、とりあえず帰途へ。
雨に打たれながら人気のない空港脇をひたすら走っていると、ちょっと怖くなりました。韓国ドラマで、車で拉致されたらこんなとこ連れてこられそう…
中心部に戻り、土産品をどこで買おうか考えながら自転車でウロウロ。大型スーパーでさえ、買ったものを詰めてそのまま宅急便発送してくれるサービスはありませんでした。韓国は一般にホテルでの宅急便サービスはないようです(超高級ホテルは知りません)。
どうしたものか、とりあえず小腹もすいたのでトッポッギ屋さんで休憩。最近、日本のスーパーでもレトルトが売れているトッポッギですが、本場で食べるのは実は今回が初めてでした。
これで約300円、トッポッギって知ってるつもりでしたが、けっこう辛くてボリュームあるもんだなぁと感心しきり。
結局eマートで土産品を調達し、そのまま郵便局へ持っていってEMS国際便で発送しました。
郵便局で箱サイズを選ぶ自分で梱包し、伝票記入。作業台にガムテープが常備されています。ハングルもろくにしゃべらないのに不安でしたが、局員の方は見た目のまま、とてもやさしい人で助かりました。
土産物を済ませてしまえば、明日の最終日も気楽です。
旧済州市のトンムン市場を通過してホテルへ。近くの公園を通ると、昼間でしかも午後、人は誰もいません。
ドラマでお馴染みの運動器具を体験するチャンス。朝の公園は大抵おじさん、おばさん達で埋まっていますから、心置きなく使えました。
こういう設備はぜひ日本にも欲しいです。フィットネスジムに通わずとも、一通りのエクササイズがここで出来ちゃいます。
おっとエアロバイク???自転車乗りの心をとらえます。
ペダルは意外に本格的? VPのピン付きプラットフォームペダルなとこがあっぱれ。
この日は午後からあいにくの天気でサイクリングのボリュームは控えめでしたが、身体は冷え切ってしまいました…
ということで、夜はバスに乗って新済州市の繁華街へ。
バス移動もアプリ「NAVERマップ」を使えば超簡単です。停留所から乗るべきバス番号まで一発!(T-MoneyカードにチャージさえしてあればOK)。
運転手さんの趣味なんでしょう。韓国演歌が結構なボリュームで流れていて、雨の夜の風景がまた味わい深く見えてきました。
で、向かったのは新済州市街のロッテサウナ。
新済州市街のロッテサウナは最新設備ではないけれど、とても広くて庶民的。受付に日本語のできる方がいて初心者にハードルが低いのでオススメです。
テレビで野球中継見ながら、温かい床に寝転がって居心地満点です。
韓国ドラマ好きの登竜門、チムジルバン(サウナ)でお約束のゆで卵、シッケ(米のジュース)…
そして、ラーメン。帰りに何か食べれるように小さいサイズにしてしまいました。
地元の人に溶け込めたような雰囲気で、しみじみ。居心地よすぎて…節約すらなら、チムジルバンに宿泊するのもありかもしれません。
翌日は夜の便で帰国。名残惜しいので、夜明け前から自転車で朝のポタリングに出かけました。
北海道からみてかなり西に位置しているチェジュ島、11月の朝6時半でも真っ暗。
サラ峰公園ではウォーキングや運動器具に励むアジョシ(おじさん)やアジュマ(おばさん)が一杯。ナイター照明で、早朝からバドミントンに励む人たちもいました。
すっかりお馴染みになったサラ峰から眺める夜明けの美しさ、もうこれでサヨナラかと思うと、胸がキュンとしてしまいました。
近くで巡回のお巡りさんも眺めていたので、声をかけました。
かけられたのではなく、私からです。いわば、逆職務質問。
お巡りさんをつかまえて、ハングルを話せないのに何を話していたんだろうと、自分でもよく思い出せません。日本のお巡りさん以上に親近感を持てたのは、外国人だったからかも…
たしか、この景色はチェゴ(最高だ)だとか、俺の北海道もいいとこだぞとか…なんか適当なこと言ってました。
今回の旅では、私は輪行初心者として、近くて遠い隣国の一人として、あらためて旅の良さ、また自転車で巡る快感を体感できました。
よそ者の視点で、一つの国や地域を走って<見る>のはサイクリングの醍醐味です。
旅には楽しいことばかりではなく、気詰まりなことも少なくないでしょう。
またひとり旅では不安や、孤独も…
でも今回の旅は、自分で想像していた以上に楽しいことばかりでした。
マイナスなことはほぼなかったと…そう思えます。
若い頃だと同じ旅をしても、ネガティブ要素に囚われて、こんなに楽しいと感じていないかもしれません。
楽しむ術を少しだけ覚えたというか、何というか。
歳をとったというか、何というか。
(ヴェロテン)